2021 December 15

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splinter cellinside ubisoft

Ubisoft Toronto、『スプリンターセル』リメイクの開発に着手

Ubisoftは、シリーズ作で培ってきた豊かな素地をベースにした『スプリンターセル』リメイク版の開発に着手いたしました。指揮をとるのはUbisoft Torontoで、自社のSnowdropエンジン(『Avatar: Frontiers of Pandora』およびUbisoftが開発中の「スター・ウォーズ」ゲームで採用されているものと同じ)を使用してゼロから構築し直し、次世代のグラフィックやゲームプレイ、そして同シリーズならではのダイナミックなライティングを取り入れます。 

今回はプロジェクトに携わる開発者3名――クリエイティブ・ディレクターのクリス・アウティ、プロデューサーのマット・ウェスト、テクニカル・プロデューサーのピーター・ハンドリノスに、それぞれのシリーズ作品との繋がりや、過去作から引き継がれるもの、そして『スプリンターセル』がいかに革新的なタイトルだったかについて伺いました。

『スプリンターセル』リメイク版へのアプローチについて教えてください。リマスターではなくリメイクである理由は何でしょうか?

マット・ウェスト: 私にとってリメイクとは、リマスターに更に何かを加えたものです。オリジナルの『スプリンターセル』は19年前に発売された当初、驚きと革新をもたらしました。現代のユーザーが求める基準は、当時よりもさらに上がっています。ですから、リマスターではなくリメイクでなければいけませんでした。まだ開発は最初期の段階ですが、極力初期作品の雰囲気をしっかり残しつつ当時の『スプリンターセル』らしさを再現しようとしています。ゼロからの開発となりますので、グラフィックが刷新されるだけではなく、昨今のプレイヤーが期待するプレイしやすいデザインを模索しています。また、オープンワールドに変更するのではなく、オリジナル版と同じ一本道のストーリーを採用します。新しいファンがコントローラーを手に取ってゲームに飛び込み、すぐにゲームと世界観の魅力に気づいてくれるには、どうすべきかを考えていきたいですね。

ピーター・ハンドリノス: 技術面の違いを簡潔にまとめると、今回やっていることは探究と革新です。新しいゲームエンジンと新時代のコンソールを利用できる環境があるからには、技術面を昔のままにしておくわけにはいきません。

マット: オリジナル版の「ステルスアクションの再定義」というコンセプトは、私たちにとって方向性を決めるうえでの指針となっています。たとえば、これを先程ピーターの話していた内容に当てはめると、プロトタイプを開発して新しいものを作り出し、試してみることに繋がります。現代のプレイヤーにとってステルスアクションとは何かを改めて定義づけようとしているんです。

刷新するにあたって最も重要な要素は何でしょうか? どんな体験が引き継がれますか?

クリス・アウティ:『スプリンターセル』はステルスジャンルに革新をもたらしたタイトルでした。マットの言う通り、中核となるステルスのゲームプレイ要素を完璧に仕上げることに注力し「ステルスを再定義」したんです。その結果、「亡霊になる」という理想を実現することができました。私たちにとって重要なのは、プレイヤーが状況をよく観察して計画を練り、ガジェットを駆使してクリエイティブな方法で敵を出し抜く達成感を与えることです。事がうまく運べば、誰にも気付かれることなく苦境を突破できる、それこそが『スプリンターセル』の醍醐味と言えます。

マット: 個人的に感じるこのプロジェクトの魅力は、マップの隅々まで意図的に作り込まれている点です。私たちが携わった最近の作品では巨大な世界を扱ってきたものが多く、プレイヤーが選びうる選択肢もあまり密集していませんでした。『スプリンターセル』ではどこを見ても、何かを選択できることの一部だったり、選択肢そのものだったり、後の展開に影響を及ぼすものがあります。こういった密度の濃いゲームプレイが全面に出ていたのが『スプリンターセル』であり、開発時に大事にしている要素でもあります。今実現しようとしているゲームプレイは、プレイヤーに体験してほしいもの、つまりオリジナル版をプレイしていた頃の体験に直結したものと言えますね。

クリス: そして、初期の作品の魅力を引き継ぐことが大切です。『スプリンターセル』の醍醐味は完璧な計画を練り、実行し、すべての戦いを完璧にこなした際の満足感にあります。警報を一個も発動させずにクリアし、最後に自分の完璧なプレイを振り返るのは『スプリンターセル』において重要な体験ですので、そこも大事にしていきたいですね。

『スプリンターセル』リメイク版は Snowdropエンジン__ で開発されるとのことですが、19年前は考えられなかったことが可能になっていたりするんでしょうか? また、他の現代的なエンジンより優れている点はありますか?

ピーター: Snowdropは実績のある超大作用の最新エンジンです。コンテンツクリエイターやプログラマーがすぐに作成したものを試すことができるため、納得行くまで試行錯誤を繰り返せるのが特徴です。このメリットを利用することで、『スプリンターセル』の中核となるゲームプレイの現代版がどうあるべき模索することができます。これほどのスピード感でテストを繰り返せないエンジンも存在する中で、『スプリンターセル』を作るにあたってSnowdropエンジンは素晴らしい選択肢だと言えます。

少し昔を振り返ってみましょう。『スプリンターセル』を初めてプレイしたのはいつですか? 2002年当時に特別なタイトルだと思った理由は?

クリス: 私は20年以上、レベルデザインとレベルクリエーションに携わってきました。当時『スプリンターセル』を見たとき、移動する時に衣服がはためいたりするだけでなく、敵が動き回る様子を観察して、その位置や周囲の状態によって計画や行動を変えることで、プレイヤー自身がゲーム内の世界に変化を及ぼせるというゲームプレイは、まだ新人の私に大きな衝撃を与えました。ただのグラフィックのおまけとしてサーマルビジョン等を登場させるのでなく、ゲーム体験に直接影響する形で使っていたのが印象的でしたね。

チームの共通認識としても、こういった点を意識するようにしています。見た目だけのために置かれているオブジェクトは作らない、すべてに意味があり、ゲームに影響を及ぼしうるものにしよう、と。当時の技術に衝撃を受けて、実際にゲームに組み込まれているとこを見たという経験が、オリジナルの『スプリンターセル』から受けた影響になると思います。私にとって、大きな転換期でありいい思い出です。

では、現在に戻りましょう。今はどんなチームで開発を行っていますか? 過去の『スプリンターセル』作品に携わった方はいるのでしょうか? プロジェクトに参加したい場合に、応募できる採用情報があれば教えてください。__

ピーター: 今回話した内容に興味を惹かれたら、ぜひUbisoft Torontoに応募してみてください。今はスタジオ創設時と同じく、新しいチームを作っている段階です。技術面でのリーダーを募集していますし、各業務も人員を募集しています。とはいえ、ベテランも数多く所属しているチームです。過去作に携わってきたメンバーと、新たなメンバーのもたらすフレッシュなエネルギーやアイデアがバランス良く融合したチームになりそうです。

マット: Ubisoft Toronto初のタイトルは『スプリンターセル ブラックリスト』でしたから、『スプリンターセル』はスタジオのDNAの一部と言えますね。

クリス: 今チームにいるメンバーも、これから仲間入りするメンバーも、『スプリンターセル』シリーズや作品、そしてその歴史をリスペクトしているという共通点があります。現在携わっているメンバーは全員、膨大な時間をかけてリサーチを行い、ゲームをプレイし、資料を読むことで、ゲームやキャラクター、ストーリー、そして『スプリンターセル』が名作になった理由をしっかり理解しているんです。

他に今回の発表にあたって皆さまに伝えたいことがあれば、お願いします。

ピーター: オリジナル版『スプリンターセル』からずいぶん長く経っています。最後のシリーズ作品もずいぶん前で、コンソールを1世代分飛ばしているほどです。ですから、これからゲームの各要素――光と影、アニメーション技術、ゲームプレイ、AI、それから音声も、それぞれどういう意味を持つかをじっくり時間をかけて模索するつもりです。「新しくすべき部分はどこか? シリーズらしさに当てはまるだけでなく、期待されているレベルのゲームを届けるにはどうすればいいのか? どこでプレイヤーを驚かせるか?」というのを自分たちに問いかけていきます。プレイヤーの皆さんには、新しいのに、20年前に初めて名作をプレイした時の気持ちを思い起こさせる作品をお届けしたいですね。

マット: 私からは、そうですね… キャッチフレーズというのは大事なものです。開発の最初期からチームのキャッチフレーズは「ゴーグルに敬意を」でした。サムのシンボルといえばゴーグルだと思うんです。私たちは現代的でありながら、シリーズの豊かな歴史を基礎とする作品を作っています。『スプリンターセル』は革新的かつやり応えがあり、それまでの市場にはなかった体験だったおかげで評価されました。私たちは、その名作にふさわしいリメイクを作るんだということを忘れないために「ゴーグルに敬意を」を掲げています。

現代的なゲームにするために、どうしてもゼロから作り直さなければならない要素もあります。そういったものをどうすれば初期の『スプリンターセル』らしくできるのか? これから、旧作の精神と、新作の安心感の間でバランスを取っていくことになります。初めてのプレイヤーを新鮮な体験で驚かせつつ、旧作のプレイヤーがコントローラーを握っても「いけるぞ!」と一息つけるようにしなければなりません。

クリス: チームにはいわゆる「ステルスゲームのコアプレイヤー」が多くいます。ですからステルス周りの機能、そしてゲーム内でどんなものを見たいかに関してはかなり真剣に検討しています。それに加えて、オリジナル版『スプリンターセル』らしさというのも強く意識していますね。

マット: 先程、隅々まで選択の結果やプレイヤーが向き合う次の選択など、重要な要素が詰まった密度の濃い世界の話をしました。最初の三部作ではその密度が明白に感じられると思いますので、今後の作業の指針にしていこうと思います。

クリス: 今回のリメイクで、『スプリンターセル』の未来の基礎を築いていくつもりです。

*Ubisoft Torontoの採用情報や企業情報はスタジオの公式サイトブログをご覧ください。『スプリンターセル』リメイク版についての最新情報は専用のニュースハブをご確認ください。